アジア原産のツマアカスズメバチは,2004 年にフランスへの侵入が初確認され,イギリス本土では2016 年に初報告された。イギリス政府はフランスの状況を学習して事前準備を進め,2011 年にはリスク評価を,2012 年には対応計画を発表した。計画に基づいて一般からの情報提供システムを整備するとともに,2014 年に政府機関担当職員をフランスに派遣して巣の除去作業の訓練を行っていた。2022 年4 月末までに12 の巣を含め22 件を確認し巣は全て除去され,越冬した巣は確認されていない。こうした政府の対応は,養蜂家たちの組織的警戒活動及び一般からの通報に支えられており,国家単位での事前準備に基づく早期対応成功事例として注目される。