下水処理場は自然流下方式で下水を集水するために海岸付近に建設されることが多い。一方で昨今の気候変動により強く大きい台風が頻発するようになり海岸付近の処理場は海水による冠水が懸念されている。さらに,地震により流入管渠の破損が生じた場合には連続的な海水の流入が危惧される。高濃度塩分は,活性汚泥の処理機能を低下させることが報告されており高濃度塩分による処理機能への影響や対策を検討することが求められている。著者らは,塩分による馴致を行った活性汚泥と馴致を行わなかった活性汚泥の処理機能に関する実験的な検討を行い,少なくとも塩分濃度2.0%までは馴致により有機物の除去機能が確保されることを確認した。