抄録
本稿では,都市と農村双方の影響を及ぼす範囲を捉えた圏域構想である「定住自立圏」と「地域循環共生圏」について対比分析を行い,その特徴及び関係性について明らかにすることを試みた。その結果,前者が農村部へ都市機能の供給の側面から捉えた構想であることに対して,後者は農村部の自然資源の影響範囲を捉えた構想であるという特徴が確認された。また,前者が都市への集約化を目指すものであるのに対して,後者は分散化を目指すという対照的な面があること,時代を経るにつれて両構想の捉える領域は接近しつつあることが明らかになった。