抄録
福島第一原子力発電所事故以降、原子力発電所(NPP)に対する社会的支持は低下した。持続可能な開発目標7(SDG7)の達成に向けて、NPP建設に対する社会的支持をいかに高めるかが重要な課題である。本研究はリスクコミュニケーション理論に基づき、中国において1,000件のオンライン調査データを収集し、構造方程式モデリング(SEM)を用いて、双方向的リスクコミュニケーション、信頼、リスク認知、政策支持、抵抗行動傾向の相互関係を分析した。その結果、(a) 双方向的リスクコミュニケーションはNPPの管理者や政策決定者への信頼を高め、原子力政策支持を促進する、(b) 信頼は支持を高めると同時にリスク認知を低減させる、(c) リスク認知と抵抗行動傾向は支持を弱める、(d) 自己効力感が低い場合にはリスク認知が抵抗行動を抑制する、ことが示された。本研究は、双方向的リスクコミュニケーションの推進に向けた実証的知見を提供する。