抄録
本稿は,阿蘇くじゅう国立公園周辺における大規模太陽光発電施設の開発に対して,地方自治体が策定した景観条例と景観計画が果たしている役割を明らかにしようとするものである。関連する行政資料と自治体担当者へのヒアリング調査を通じて,制度の運用実態と課題を検討した。その結果,届出基準の工夫や自治体間の連携によって一定の開発抑制効果が認められた一方,景観条例と景観計画の規制力の不足,届出対象行為の規模の不整合,景観形成地域の範囲設定の限界等,現行制度の構造的に脆弱な点も確認された。こうした制度的な課題を解消するために,自然公園法と各自治体の景観条例とのより一層の連携等による対策が期待されることを論じた。