日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第59回大会・2016例会
セッションID: P02
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第59回大会:ポスター発表
豆類を教材とした食教育プログラム
-小学校低学年における生活科授業の提案-
*土岐 圭佑岡田 みゆき
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抄録
目的
 豆類は、炭水化物(糖質)、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で機能性があることから、健康づくりに役立つ優れた食品として見直されている。しかし、厚生労働省が平成12年から推進してきた「二十一世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」に掲げられた豆類の平均摂取量の目標は、平成21年の「国民健康・栄養調査」において、その目標値を大きく下回っていることが報告された。特に、40代以下になると男女ともに急激に摂取量が減少し、小学生の摂取量は非常に少ない。また、文部科学省が毎年度実施している「学校給食栄養報告」でも、「豆料理を残す子どもが多い」状況で、「家庭で食べていない」ことがその一因であることがあげられている。豆を食べることの大切さを教える、豆料理を食べる機会を与える食教育を、学校給食が始まり嗜好に大きな影響を与える小学校低学年の時期から実施することが求められる。
 そこで、本研究では、豆を食べる健康的な食習慣を幼少期から形成するために、豆類を教材とした小学校低学年における食教育プログラムを開発し、生活科の授業の中で提案することを目的とする。そして、その有効性についても検証する。

方法
 研究対象者は、N市立H小学校2年1組24名、2組26名、3組21名計71名である。授業は、単元「まめのよさを知ろう」(全10時間)として生活科の時間で、平成24年6月~平成25年1月に実施した。授業の目標と学習内容としては、文部科学省『食に関する指導の手引』を参考に設定した「小学校食教育プログラムの段階別指導目標と学習内容」に基づき、豆類を教材とした小学校低学年における食教育プログラムを考え、生活科の授業として構成した。それを踏まえ、授業の目標を以下の4つに設定した。1.五感を通して豆に触れたり、豆の名前を知ったりすることで、豆への関心を持つ。2.豆のよさを知り、楽しく意欲を持って食べる。3.豆を育てたり、季節や行事にちなんだ豆料理を食べたりすることを通して、身近な土地でとれる豆に親しむ。4.学校給食と豆とのかかわりに気付き、学校給食への関心を高める。
 分析方法としては、4つの授業の目標が達成されたか、また、授業の目標を達成するために、どんな学習内容が有効であったかを検討するため、授業の前後に記述した「豆から連想するもの」、授業中のワークプリント、授業の9,10時間目に行ったまとめの作文を分析資料とした。記述されている内容からカテゴリーを形成し、カテゴリーごとに記述した児童の数をカウントして示した。さらに、個人間の差異に着目して、授業効果が上がる要因についても検討した。

結果
 授業は、学校給食や行事食を教材として取り上げる、五感を使って豆を知る、豆の名前を知る、豆を育てる、豆と自分たちの地域との関係に気付く、豆や豆料理を食する活動を取り入れて構成した。授業の前後に記述した「豆から連想するもの」、「大豆の加工品」の分析から、豆に関する知識が増え、理解が高まったことが明らかとなった。特に、大豆の加工品に対する知識は増え、豆に対する関心を深めることができた。一方、学習直後は、豆のよさを実感し、食べることの意欲を見せても、時間の経過とともに、その意識は薄れていった。また、学校給食に関する記述は少なく、「学校給食と食材とのかかわりに気付き,学校給食への関心を高める」という授業目標は充分達成されなかった。 学習効果を上げるためには、学習意欲を高めることが重要であり、学習の理解度の低い児童には、食べるなどの体験的な学習を取り入れることが効果的である。
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© 2016 日本家庭科教育学会
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