環境情報科学論文集
Vol.39(2025年度 環境情報科学研究発表大会)
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研究論文
日本の温帯地域における浮遊型農業排水処理システムにベチバー(Chrysopogon zizanioides)を利用した場合のファイトレメディエーション能力
*ロイ キンシュック*長坂 貞郎*笹田 勝寛*山嵜 高洋
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p. 9-16

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抄録
本研究では、日本の温帯農業地域における水質改善を目的として、ベチバー(Chrysopogon zizanioides)を用いた浮遊型処理システム(ベチバーFTS)の有効性を評価した。処理対象として、天然表流水(湖沼・河川)、人工富栄養水、家畜排水の3種類の水を用い、総窒素(TN)、総リン(TP)、化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質(SS)、無機イオンなどの水質指標を経時的に測定した。ベチバーは、すべての種類の水においてTN(最大60%)およびSSの除去を安定的に達成した。TPは栄養塩の高い水(人工富栄養水・家畜排水)で最大48%低下したが、天然水ではわずかに増加した。CODは家畜排水のみで低下した。また、すべての種類の水で栄養塩の吸収は4~7日以内に迅速に起こり、根の発達は安定していた。統計解析により、高栄養条件下でのTNおよびTPの有意な減少が確認された。これらの結果は、ベチバーFTSが窒素および浮遊物質の除去に安定的な効果を示す一方で、リンやCODを部分的に低減することを示しており、温帯地域の農業排水に対する費用効果が高く、低管理で運用可能な植物浄化技術としての可能性を示唆している。今後は、季節変動や根圏プロセスの評価が必要である。
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© 2025 (一社)環境情報科学センター
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