2010 年 64 巻 1 号 p. 331-337
低水セメント比コンクリートは、乾燥や乾湿繰返しを受けると耐凍害性が著しく低下するものがあることが報告されている。本報告では、そのメカニズム解明の基礎データとするため、乾燥を受け、含水率分布を生じたコンクリート断面の凍結融解時の水分状況を検討するとともに、乾燥日数により含水率を変えた試験体の耐凍害性について検討を行った。その結果、凍結融解時の試験体は、内部の凍結水量は小さいが、乾燥の影響を受けた試験体表面から10mmの凍結水量は大きいこと、内部から表層へ水分が移動する場合があること、乾燥日数の増加に伴い体積含水率が低下すると、凍害劣化が大きくなる傾向があること、同じ含水率でもその分布によって凍害劣化が異なること等の知見を得た。