本研究は無機化合物による凝結遅延効果についてモルタルを用いて検証を行ったものである。本研究では、無機化合物として試薬の酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、酸化銅(Ⅰ)、酸化銅(Ⅱ)、塩基性炭酸銅を用いた。その結果、酸化亜鉛と塩基性炭酸銅を質量比で2対1の割合で同時に添加することによってモルタルの凝結が10日程度まで遅延すること、また、凝結遅延させたモルタルを練直すことによって遅延時間が短縮されることがわかった。凝結遅延剤を添加したモルタルおよびそれらを練直して得たモルタルの圧縮強度は無添加のものと比較して材齢7日までは低いものの、材齢28日では同等であった。