近年、コンクリート分野において廃棄物・副産物を有効利用することで環境負荷低減を目指す動きが活発化しているが、廃棄物・副産物等を再利用したコンクリートには、人体や環境に悪影響を及ぼす重金属が溶出する危険性があることに加え、重金属溶出はコンクリートの置かれる周辺環境に依存することが知られている。本研究では、接触溶液の種類およびpHが異なる場合のセメント硬化体における鉛の吸脱着特性およびその内部変化について把握することを目的として実験的検討を行った。その結果、セメント硬化体と塩化物溶液が接触した場合には、MgCl2溶液の場合に鉛の吸着量が多くCaCl2溶液では著しく少なくなること、pHが13から10程度へ低くなるにつれて吸着量が増加することが明らかとなった。