2019 年 73 巻 1 号 p. 10-17
本研究ではMgやアルカリを添加して合成した1.4nmトバモライトの構造変化に着目し、乾燥条件が与える影響について検討するために80℃の水和反応後にRH=11~88%で長期乾燥した試料の分析を行った。その結果、高RH条件下で不安定であった1.4nmトバモライトの構造がRH=11%においては安定化し、結晶性の向上が示された。また各条件で乾燥した試料に共通して1.4nmトバモライトは前処理乾燥により層間が1.1nmへと変化するものの、N2吸着等温線は全く異なる挙動を示し、メソポア、マクロポア領域における凝集体構造の明瞭な違いが生じることがわかった。また、MgOは80℃養生により1.4nmトバモライトの生成を促進し、Mgはトバモライト層間のSi鎖を架橋するものと考察した。