セメント・コンクリート論文集
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環境・リサイクル
錯体重合法による高比表面積β-C2Sの作製及びその水和性状に関する検討
井川 義貴斎藤 豪鈴木 一帆細川 佳史
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2019 年 73 巻 1 号 p. 363-370

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抄録

再生利用可能なセメントの実現に向け、高活性β-C2Sとその水和により生成する高CaO/SiO2モル比(以下CaO/SiO2モル比をC/S比と記す)の非晶質C-S-Hに関して検討している。本稿では既報で示された高活性β-C2Sが従来と異なる水和性状を示し、かつ非常に高い比表面積を持つ点に着目し、錯体重合法によりβ-C2S前駆体を作製して、その焼成により原子レベルの均一性と高比表面積を有するβ-C2Sの合成を行い、水和性状を評価した。その結果、出発C/S比を1.0としても焼成により高比表面積のβ-C2Sが生成し、その水和によりCa(OH)2(以下CH)を伴わずに高C/S比の非晶質C-S-Hが生成したことで、コンクリートにおける再生システムの可能性を示した。また条件によっては、ほぼ単相で高比表面積のβ-C2Sが生成し、水和後は高C/S比の非晶質C-S-Hのみが生成した。

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© 一般社団法人セメント協会
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