2020 年 74 巻 1 号 p. 2-8
本研究ではAl源や養生温度の違いがトバモライトの結晶構造に及ぼす影響に関して検討するため、出発Ca源及びSi源にゲーレナイトやγ-Al2O3を添加し、各条件下で養生を施した。その結果、Al無添加試料を比較的低温である40℃で28日間養生することで1.4nmトバモライトが生成することを確認した。また1.4nmトバモライト生成過程において、Alを添加することで60℃温度条件下でもAl置換型1.1nmトバモライトが生成する可能性が示された。加えて1.1nmトバモライト生成過程においては、低結晶質のC-(A)-S-Hが結晶化すると共にAl置換サイトがQ2bからQ3へシフトする傾向が見られ、Al源の違いはAl置換量の違いを生み出す結果となった。