2017 年 38 巻 6 号 p. 270-276
高耐熱樹脂組成物用の新規硬化剤として,高Tg を発揮するものの溶解性が低い環状フェノール化合物C-メチルカリックス[4]レゾルシンアレーン(CRA)の分子修飾による溶解性及び流動性向上を試みた。CRA とグリシジルフェニルエーテル,アセチルクロリド,あるいはアリルブロミドとの反応により,フェノール性水酸基を部分的にエーテル化,アセチル化,あるいはアリルエーテル化することでCRA 誘導体類を合成した。その結果,アリルエーテル化の場合,得られたCRA 誘導体(CRA−50%AE)の溶解性や流動性は最も優れていることが分かった。合成したCRA−50%AE をトリフェノールメタン型エポキシ樹脂の硬化剤として使用したところ,Tg レスの硬化物が得られ,トリフェノールメタン型フェノール硬化剤と同等の流動性を発揮することが分かった。