再生利用可能なセメントの実現に向け、高活性β-C2Sの作製と、その水和により生成する高C/S比の非晶質C-S-Hに関して検討している。本稿では錯体重合法によりβ-C2Sの合成を行い、水和性状を検討した。また、コンクリートへの適用を想定して、再利用時の水和生成物に珪石微粉末を加えてC/S比を下げた条件においても検討を行った。その結果、出発C/S比に関わらずβ-C2Sが生成し、水和時にはCHを伴わずに高C/S比の非晶質C-S-Hが生成した。さらに、珪石微粉末を加えてC/S比を下げた条件においても、焼成によりβ-C2Sが生成され、水和時に再びCHを伴わずに高C/S比の非晶質C-S-Hが生成したことで、コンクリートへ適用した際もセメントの“再生サイクル”を維持できる可能性を示した。