2025 年 78 巻 1 号 p. 70-78
本研究では廃コンクリート微粉末から作製したα-C2SHの水和促進効果をC3Sの反応率と水和熱の観点から検証した。加えて、硬化セメントペースト表面の複雑さを表す尺度の一つであるフラクタル次元を作製試料に対して算出し、C3Sが水和して生成するC-S-Hの粒子表面における複雑さを表す尺度として、水和促進効果と関連付けて分析を試みた。その結果、廃コンクリート微粉末から作製したα-C2SHを添加することで、水和初期における誘導期及び加速期が短縮された。また添加剤の比表面積や平均粒子径に関わらず、特に水和促進効果を示した添加剤においては、水和初期における表面フラクタル次元Dsが急激に増加する結果を得た。