茶業研究報告
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技術レポート
鹿児島県曽於地域における新節水型散水氷結防霜制御「0℃制御」の現地実証と普及
富濵 毅田中 敏弘堀口 大輔堀口 俊堀口 泰久加藤 正明
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2012 年 2012 巻 114 号 p. 114_45-114_56

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抄録

茶において散水氷結法は有効な防霜技術であるが,防霜用水の確保が困難となっている。最近,茶園に散水された水が氷結後に凍霜害が発生しない温度域で葉温を制御する節水型防霜制御「0℃制御」が開発された。本報告では,本制御を鹿児島県曽於地区で慣行となっている交互散水方式に応用した0℃交互制御の実証と普及について紹介する。実証を行った2011年春期は降霜日が連続したが,実証茶園では0℃交互制御により氷結後の葉温は-1℃以下に下がることはなく,実証期間中に霜害はみられなかった。また,0℃交互制御による使用水量は,慣行の均等交互散水方式より57%削減され,0℃交互制御の節水効果は高かった。0℃交互制御の使用に当たっては,特にほ場内の温度較差がある場合,温度センサーの感度と設置位置が重要であった。0℃交互制御は十分な防霜効果があり,節水効果が非常に高いことから,多くの茶農家が0℃交互制御を散水制御機に導入した。我々は0℃交互制御の使用方法を茶農家に指導し,2011年の秋冬期防霜から使用が開始され,2012年の春期は水不足および霜害は発生しなかった。

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© 2012 日本茶業技術協会
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