2015 年 2015 巻 119 号 p. 119_21-119_28
生葉の低温保管により不快な夏茶臭が改善される。本研究では,AEDAおよび香気寄与成分の分析と添加試験を通して,生葉の低温保管による夏茶臭の改善効果を明らかにした。結果,夏茶臭の原因物質と考えられるmethoxypyrazineは生葉の低温保管により変化しなかった。一方,低温保管により多くの香気寄与成分が増加し,高いFDfで検出された。生葉の低温保管により高いFDfで検出された成分をそれぞれの閾値とFDfを参考に混合し,夏茶臭が認められた煎茶に添加して官能検査したところ,夏茶臭は認められず,フローラルな香調が強調された。以上から,生葉の低温保管により香気寄与成分が増加し,夏茶臭をマスキングすることがわかった。