茶業研究報告
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緑鮮やかな煎茶用新品種 ‘ゆめするが’
鈴木 康孝小栁津 勤畑中 義生齋藤 武範青島 洋一中村 順行西川 博倉貫 幸一
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2016 年 2016 巻 121 号 p. 1-8

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抄録

‘ゆめするが’は,静岡県茶業試験場(現静岡県農林技術研究所茶業研究センター)において,1986年に‘おくひかり’を種子親,‘やぶきた’を花粉親として交配した実生群から選抜,育成された。系統86-7-1として2002年から2008年まで特性検定試験および地域適応性試験を実施した結果,収量性,荒茶品質等煎茶用品種として優良であると認められたため,‘ゆめするが’と命名し,2010年に品種登録出願,2012年に品種登録,2014年に静岡県奨励品種として採用された。
樹姿は中間型で樹勢は極めて強い。摘採期は‘やぶきた’よりも4日程度遅いやや晩生である。成葉の赤枯れ抵抗性は‘やぶきた’よりもやや弱く,耐病虫性は,炭疽病が弱,輪斑病,赤葉枯病がやや強,赤焼病が中,クワシロカイガラムシがやや弱である。収量性は‘やぶきた’よりも多く,摘芽は芽数型である。
品質は総合的に‘やぶきた’よりも優れ,特に色沢,水色が鮮緑で優れる。滋味は渋みが少なく温和である。一番茶の荒茶の化学成分は,タンニン含有率が‘やぶきた’に比べて少ない。
地域適応性に優れ,静岡県内全域での栽培に適している。品種組み合わせによる経営の効率化に有効である。

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© 2016 日本茶業学会
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