2016 年 2016 巻 121 号 p. 9-15
本研究では,茶品質の指標の一つである遊離アミノ酸含有量に着目し,収量を確保しつつ遊離アミノ酸含有量の高い荒茶を生産する被覆方法の開発を目指した。そこで,遊離アミノ酸含有量は遮光開始から5日後までの増加が顕著であること,遮光による生育の抑制は5日程度であればほぼ影響がないことに着目し,85%遮光9日間,98%遮光5日間の二段階遮光という被覆方法を考案した。‘やぶきた’において本遮光方法を検証した結果,かぶせ茶慣行の85%遮光と比較して,収量は同等で,かつ遊離アミノ酸含有量を1.2〜1.3倍に高めることができた。また,‘みえうえじま,おくみどり’においても85%遮光より遊離アミノ酸含有量が高まることが確認された。さらに,遮光による各種成分の変動は品種によって異なっていたことから,今後,品種毎に被覆方法を検討することで特徴あるかぶせ茶の開発等につながる可能性が考えられた。