‘ゆめするが’は,静岡県茶業試験場(現静岡県農林技術研究所茶業研究センター)において,1986年に‘おくひかり’を種子親,‘やぶきた’を花粉親として交配した実生群から選抜,育成された。系統86-7-1として2002年から2008年まで特性検定試験および地域適応性試験を実施した結果,収量性,荒茶品質等煎茶用品種として優良であると認められたため,‘ゆめするが’と命名し,2010年に品種登録出願,2012年に品種登録,2014年に静岡県奨励品種として採用された。
樹姿は中間型で樹勢は極めて強い。摘採期は‘やぶきた’よりも4日程度遅いやや晩生である。成葉の赤枯れ抵抗性は‘やぶきた’よりもやや弱く,耐病虫性は,炭疽病が弱,輪斑病,赤葉枯病がやや強,赤焼病が中,クワシロカイガラムシがやや弱である。収量性は‘やぶきた’よりも多く,摘芽は芽数型である。
品質は総合的に‘やぶきた’よりも優れ,特に色沢,水色が鮮緑で優れる。滋味は渋みが少なく温和である。一番茶の荒茶の化学成分は,タンニン含有率が‘やぶきた’に比べて少ない。
地域適応性に優れ,静岡県内全域での栽培に適している。品種組み合わせによる経営の効率化に有効である。
本研究では,茶品質の指標の一つである遊離アミノ酸含有量に着目し,収量を確保しつつ遊離アミノ酸含有量の高い荒茶を生産する被覆方法の開発を目指した。そこで,遊離アミノ酸含有量は遮光開始から5日後までの増加が顕著であること,遮光による生育の抑制は5日程度であればほぼ影響がないことに着目し,85%遮光9日間,98%遮光5日間の二段階遮光という被覆方法を考案した。‘やぶきた’において本遮光方法を検証した結果,かぶせ茶慣行の85%遮光と比較して,収量は同等で,かつ遊離アミノ酸含有量を1.2〜1.3倍に高めることができた。また,‘みえうえじま,おくみどり’においても85%遮光より遊離アミノ酸含有量が高まることが確認された。さらに,遮光による各種成分の変動は品種によって異なっていたことから,今後,品種毎に被覆方法を検討することで特徴あるかぶせ茶の開発等につながる可能性が考えられた。
チャミノガおよびニトベミノガ2〜3齢幼虫の殺虫剤感受性について,チャミノガに対しては18種類,ニトベミノガに対しては15種類の殺虫剤を用いてそれぞれ調べた。チャミノガ若齢幼虫に対して殺虫効果が高かった殺虫剤はクロラントラニリプロール水和剤およびフルベンジアミド水和剤であった。また,同種の食害度が0を示した殺虫剤は,カルタップ水溶剤およびフェンプロパトリン乳剤であった。一方,ニトベミノガ若齢幼虫に対して殺虫効果が高かった殺虫剤は,フルベンジアミド水和剤,エマメクチン安息香酸塩乳剤,スピネトラム水和剤,クロルフェナピル水和剤およびフルキサメタミド乳剤であった。また,同種の食害度が0を示した殺虫剤は,認められなかったが,メソミル水和剤,スピノサド水和剤,フルベンジアミド水和剤およびフルキサメタミド乳剤では比較的低い食害度を示した。
「日本食品標準成分表」等のデータベースを用いて,茶と野菜の成分値を比較した結果,抹茶や玉露,煎茶を丸ごと食べることによって,ビタミンAやビタミンEの不足を補うことができる可能性が示唆された。しかし,茶を食す場合でも過剰に摂取することは禁物で,1人前1食分の上限を数グラムとし,香りや味,色合いなどを楽しむことに重点を置いて使用量を設定することが重要であると思われる。
製茶工程が機械化される以前の釜炒り茶の製法を聞き取り調査した。熊本県内でみられる釜炒り茶の製法は水平に設置した釜を用いてナマハゴロシ,所謂殺青を行う青柳製釜炒り茶である。揉捻後は炒っては冷ましてという工程を繰り返す。殺青の際に用いるマタギは農家によって形状に差異がある。
青柳製釜炒り茶の産地である熊本県でも,傾斜釜による製法が導入された痕跡もみられる。しかし,その後に訪れる機械製茶によって傾斜釜による製法は無かったものと認識されていると推察する。また,炒り葉,揉捻,日干し乾燥の工程を経る釜炒り日干し茶は品質が劣る茶であるが,釜炒り茶と混同された可能性があり,生産地域が限られている釜炒り茶が適正に評価されていない原因の一つと考える。