2017 年 2017 巻 124 号 p. 1-7
チャの裂傷型凍害は主に初冬および初春期に幼木で発生し,被害が大きい場合は枯死に至る。そこで,裂傷型凍害の発生機構について検討した。十分に吸水させたロックウールに挿した枝条を-5℃で処理したところ,形成層付近での氷の形成により皮層の裂傷が生じることが観察され,その発生部位は地際部から約2cmの範囲内に限られた。枝条を乾燥したロックウールに挿した場合には裂傷は発生しなかった。したがって,裂傷発生には外部からの水分供給が必要であると考えられる。-5℃処理した枝条を室温に戻すと枝条の複数個所から液体が漏出しているのが確認され,この現象が裂傷型凍害発生に関与している可能性があると考えられる。裂傷型凍害発生部位の枝条断面をMRIで観察したところ,皮層までの裂傷が確認できたが,通水阻害は確認できなかった。