茶業研究報告
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粒度と食感からみた抹茶のおいしさ
沢村 信一
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2019 年 2019 巻 128 号 p. 31-35

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抄録

本稿では,同じレベルの碾茶を茶臼・ボールミル・ジェットミルなどの粉砕機によって粉砕した抹茶を用いて,レーザー解析式粒度分布測定装置で中位径を測定した。また,それぞれの抹茶の官能評価を実施し,抹茶の粒度の違いからくる食感によるおいしさに関して考察した。

茶の湯で使用される抹茶は,碾茶を茶臼で粉砕するため粒度に大きな違いがないが,食品加工用の抹茶は種々の粉砕機によって粉砕される。茶臼で粉砕した抹茶は広い粒度域を持ち,中位径は10~20μmである。食品加工用として一般的に使用されるボールミル抹茶の中位径は,茶臼で粉砕したものとほぼ同じである。ジェットミル抹茶や気流式分級機で分級した微粉抹茶は,中位径3〜5μmと微細であった。

茶臼抹茶と,ボールミル抹茶では,中位径はほぼ同じであるが,その粒度分布様式が異なり,ボールミル抹茶にざらつきを感じる場合がある。また,分級によって得られた微粉抹茶は,さらっとしており質感を感じない。

古くから使われてきた茶臼で粉砕した抹茶は,結果として質感となめらかさを合わせ持っており,飲んだときに食感としておいしさを感じることができる。

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© 2019 日本茶業学会
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