本稿では,同じレベルの碾茶を茶臼・ボールミル・ジェットミルなどの粉砕機によって粉砕した抹茶を用いて,レーザー解析式粒度分布測定装置で中位径を測定した。また,それぞれの抹茶の官能評価を実施し,抹茶の粒度の違いからくる食感によるおいしさに関して考察した。
茶の湯で使用される抹茶は,碾茶を茶臼で粉砕するため粒度に大きな違いがないが,食品加工用の抹茶は種々の粉砕機によって粉砕される。茶臼で粉砕した抹茶は広い粒度域を持ち,中位径は10~20μmである。食品加工用として一般的に使用されるボールミル抹茶の中位径は,茶臼で粉砕したものとほぼ同じである。ジェットミル抹茶や気流式分級機で分級した微粉抹茶は,中位径3〜5μmと微細であった。
茶臼抹茶と,ボールミル抹茶では,中位径はほぼ同じであるが,その粒度分布様式が異なり,ボールミル抹茶にざらつきを感じる場合がある。また,分級によって得られた微粉抹茶は,さらっとしており質感を感じない。
古くから使われてきた茶臼で粉砕した抹茶は,結果として質感となめらかさを合わせ持っており,飲んだときに食感としておいしさを感じることができる。