茶業研究報告
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茶園におけるチャノミドリヒメヨコバイに対する天然ピレトリン剤の防除効果について
萬屋 宏須藤 正彬佐藤 安志
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2024 年 2024 巻 138 号 p. 13-22

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抄録

チャノミドリヒメヨコバイは,チャの新芽を吸汁加害し,収量と製茶品質に悪影響を及ぼすことから重要害虫となっている。特にチャの有機栽培において本種に対する防除は必要性が高いが,現在,チャの有機栽培においてチャノミドリヒメヨコバイに対して使用できる農薬はない。しかし,天然ピレトリン剤は,チャノミドリヒメヨコバイと近縁種であるEmpoasca fabae Harrisに対して大きな防除効果を示すことが報告されており,本剤は,チャノミドリヒメヨコバイにも防除効果を示す可能性がある。そこで茶園において,天然ピレトリン剤のチャノミドリヒメヨコバイに対する防除効果を評価した。その結果,天然ピレトリン剤 (希釈倍数が500倍または1000倍) を約7日間隔で2回散布することで,たたき落とし虫数,新芽の被害程度および産卵数を低減させる結果が得られ,慣行防除で用いられるフロニカミド (1000倍希釈) と同等の防除効果を示した。

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© 2024 日本茶業学会
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