茶樹に対する苦土の肥効について,ポット試験により黄色土を供試して前報に引き続いて同様の設計で試験した。その結果を要約すると次のとおりである。
1.いずれも苦土の肥効が認められたが,ことにリン酸増施の場合における苦土の肥効が顕著であった。
2.葉・茎・根の化学成分についてみると,無苦土区の新葉はいずれも全窒素含量が少ない傾向が認められ,また苦土施用区のカリ含量が少なく,逆にカリ増施区の苦土含量が少なく,カリと苦土とのきっ抗作用が認められた。
3.茶葉中の苦土および石灰の形態別含量について調べたところ,苦土施用区ではいずれの形態の苦土も多くなるが,その割合は全般的に水溶性と酢酸可溶性のものが多かった。しかし無カリ区のように著しく多い場合はアルコール可溶性のものも増加した。
4,跡地土壌についてみると,苦土施用区ではわずかにpHが高くなり,置換酸度が低下する傾向が認められた。