茶業研究報告
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茶園における農薬の空中散布試験
向笠 芳郎小川 茂小泊 重洋
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1964 年 1964 巻 22 号 p. 17-24

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抄録

ベリコプターによリエストックス乳剤,エカチン乳剤,デルナップ乳剤70倍液を10a当たり3lと6l散布し,カンザワハダニに対する防除効果を1963年4月に,マラソン粉剤3.0,2,0,1.5%の3種類を10a当たり3kgと2.5kg散布し,アカイラガ,チャノホソガ,ミドリヒメヨコバイなどに対する防除効果を1962年10月に検討した。
(1)エストックス乳剤,エカチン,デルナップともほぼ同様に高い防除効果を示した。デルナップ区では散布直後は寄生数が激減していたが,散布20日後では散布前より増加していた。
(2)エストックス乳剤3l区と6l区では効果に大差はなかったが,6l区のほうがややよい傾向であった。
(3)3l区と6l区では散布時の気象条件が異なったので散布量の差の付着量への影響を正確に検討し得なかった。散布時に北々東~北東の風が吹いていたので,付着量は試験区の風下の部分で多い傾向があった。3l区に比べれば6l区のほうが落下指数が少し大きく,平均粒数も大きかったが,平均粒大は小さかった。
(4)マラソン粉剤3,0,2.0,1.5%のいずれもアカイラガ,ミドリヒメヨコバイに対しては高い防除効果を示したが,チャノホソガとヨモギエダシャクに対しては効果が低かった。1.5%粉剤3kg区と3.0%粉剤2.5kg区は2.0%粉剤3kg区よりも効果がやや劣っていた。
(5)付着量は3.0%粉剤2.5kg区でも2.0%粉剤3kg区でもH式落下量調査法では差は認められなかった。2.0%粉剤3kg区における葉裏への付着はきわめて少なかった。H板のうねの方向に対する設置位置や,うねの設置部位による付着量の差は,ほとんど認められなかった。

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