茶業研究報告
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茶のビニル被覆による省力さし木法
坂田 寿生青木 彦二桐明 政美
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1971 年 1971 巻 35 号 p. 42-49

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抄録

茶のさし木繁殖において,さし木後,ビニルフィルムをトンネル式に被覆し,省力的に育苗することについて試験した。
6月ざしでは,さし木後約45日間ビニルフィルムで被覆し,密閉することによって,その間全く無かん水で育苗できることがわかった。
ビニルフィルムの上に日おおいをし,しゃ光するがそのしゃ光率は85%ぐらいがよく,#600のカンレイシャでおおいするとぎは3枚かけるとよい。
さし穂が十分得られるときは,さし穂の着葉数を3葉か4葉にしたほうがよい。活着は良好で,大きな苗が得られる。
夏ざしにおけるさし木の適期はやぶきたの場合5月下旬で,一番茶が終わりしだいさし木する。
秋ざしの適期は10月上旬で,ビニルで翌年の4月まで被覆しておくと秋には良苗が得られる。
3月下旬にもさし木できるので,新しい品種の増殖などに都合がよい。
ビニル被覆によるさし木法では,春夏秋のいつでもさし木ができ,しかもきわめて省力的な方法であることがわかった。

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