茶業研究報告
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茶カテキンの植物ウィルスに対する抑制効果
岡田 文雄
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1971 年 1971 巻 35 号 p. 77-83

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抄録

供試植物はCMVにタバコ(KY-57)をTMVにはトマトおよびグルチノーザクバコを用い,茶カテキン(4腫)の全身感染ならびに局部感染に対する抑制効果を検討した。全身感染の実験はウイルス接種源に(-)EC,(-)EGC,(-)ECg,(-)EGCgをそれぞれ0.5%になるよう添加し,接種後30日間観察を行ない,また,TMVの局部感染に対しては,(-)ECgおよび(-)EGCgを0, 0.02, 0.05, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5%になるよう添加して,2日後のlocal lesion数を求め,カテキン量が病班形成に及ぼす影響を試験した。
1.CMVの全身感染に対するカテキンの作用は,遊離型の(-)EC,(-)EGCに比べ,エステル型の(-)ECg,(-)EGCgの効果が顕著で,30日後も病徴はなく,ウイルスに対する抑制作用は,タン白と結合しやすいエステル型カテキンの効果がより大きいことが認められた。
2.TMVの全身感染の実験をトマトに,局部感染をグルチノーザタバコで検討したところ,(-)EC,(-)EGCには抑制効果は認められなかった。しかし,エステル型の(-)ECgと(-)EGCg処理では全身感染ならびに局部感染による病徴は認められず,明らかに抑制効果があることを認めた。
3.エステル型の(-)ECgならびに(-)EGCgの添加量が病班形成に及ぼす影響は,いずれの実験でもカテキン量が増すにつれてlocal lesionは急激な減少を示し,0.5%になるとその形成は認られなかった。
本報告を行なうにあたり,有益な助言とご指導をいただいた農林省植物ウイルス研究所飯田俊武部長,茶業試験場古谷弘三製茶部長ならびにご協力をいただいた当場笠井久三技官,坂本裕技官,中川致之技官,日本専売公社磐田たばこ試験場大橋雄司氏(現宇都宮たばこ試験場)に厚く感謝する。

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