クロロフィルのフェオフィチンへの変化の測定法

Dietrich法の茶への応用

抄録

茶の褐変に伴うクロロフィルの変化を調べるために,DIETRICHらの提案したクロロフィルのフェオフィチンへの変化の測定法を,茶に応用する場合の操作と計算式の検討を行なった。
操作および計算式は,煎茶粉末0.3gに10%含水アセトン40mlを加え3～5時間抽出し,その上澄液の534mμおよび556mμにおける吸光度を求め,次式によってフェオフィチンへの変化率を算出.する。
フェオフィチンへの変化率=R_X-R₀/R₁₀₀-R₀×100
ただし
R₀:0%フェオフィチン溶液における吸光度の比(OD 534mμ/OD 556mμ)
R₁₀₀:100%フェオフィチン溶液における吸光度の比(OD 534mμ/OD 556mμ)
R_X:未知試料抽出液における吸光度の比
(OD 534mμ/OD 556mμ)
著者らが茶に応用した場合の計算式は次のとおりであった。
フェオフィチンへの変化率=R_X-0.96/1.29×100
ただし,この計算式は分光光度計によって異なるから,それぞれの装置で確認する必要がある。
この方法によって求めたフェオフィチンへの変化率と,TANらの方法に準じてカラムクロマトグラフィーで分別し,比色法で求めた変化率とが比較的よく一致することも認めた。