茶樹の各種器官および紅・緑茶を対象として,その微量元素の含有量を,非破壊による放射化分析法について検討した。
Ge(Li)γ線スペクトPメーターを用いた場合,茶に含まれる微量元素のうち,分析可能な元素としてNa,K,Cu,Mn,BrおよびZnがあげられた。
これらの元素の,茶樹の発育および茶樹苗の根と地上部の生育に伴う器官内濃度の変化を検討したところ,それぞれの量的変化には特異性が認められた。また,茶葉細胞構造別に元素の分布についても調査したところ,Kはほとんど水溶性で上清区分に集まったが,MnおよびCuの一部は不溶性の形で細胞構造に結合して存在していた。
外国産と日本産の茶については,日本の茶でNaが,また,日本紅茶にCu含量の高いことが特徴としてあげられた。