茶業研究報告
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さやまみどりおよびやぶきた煎茶の香気の比較
山西 貞内田 温子川島 洋子藤波 大和宮本 眞紀子
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1974 年 1974 巻 41 号 p. 48-53

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抄録

さやまみどりの煎茶製造には萎凋操作を加えて,独特の芳香を発揚することが行なわれている。この現象とさやまみどりの特殊香気の本質について研究し,次のことが明らかとなった。
1)さやまみどりはやぶきたに比べ,リナロール,α-テルピネオ~ル等のモノテルペンアルコールは少ないが,甘い花香を有するネロリドールが著しく多い。
2)さやまみどりには木のにおいをもつ1種の未知物質が存在するが,萎凋によりこれはエステル(菊またはセリ様の香)に変わる。
3)インドールはさやまみどりに多く,これが多すぎると不快なにおいになる。萎凋により,インドールは減少する傾向があり,この処理により香りのバランスが好ましいものになると考えられる。
4)酸の中,不快臭であるカプロン酸は萎凋によって著しく減少し,好ましい香りのエステルに変わる。

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