抄録
成木を台切りしたり,断根した場合,ならびに幼木の新芽について,その生育,成分変化を比較検討した。
台切り処理の新芽は出開かず,幼木と同様の生育をみせた。しかも,幼木に比べて芽長は長く,下から2葉目の葉重や葉面積重も大きかった。断根処理区での新芽生育は成木無処理区とほぼ同様であったが,芽長は長く,葉重は台切り区と同程度であった。一心三葉芽の乾物重は,生育初期には幼木と台切り区で大きかったが,その後は差はみられなくなった。
タンニン含量は下から2葉目の場合には,幼木<台切り区,断根区<成木無処理区の順であった。一心三葉芽では,幼木,台切り区で少なく,断根区,成木無処理区の順に多くなった。遊離アミノ酸含量は下から2葉目,一心三葉芽とも,幼木>台切り区>断根区>成木無処理区の順であった。全窒素含量は幼木,台切り区で高く,次いで断根区であり,成木無処理区が最も低かった。
台切り,断根処理により粗揉葉の香味は向上したが,試験開始3年目においても,台切り区の官能審査評点(香気,滋味)は成木無処理区より優れていた。一方,断根区の滋味も優れていたが,香気は成木無処理区と変わらなくなった。
本研究は農林水産省特別研究「茶の香気成分の生成機構解明と香気向上技術の開発」の一環として実施したものである。なお,官能審査を実施していただいた当場製茶第2研究室各位,製茶の協力をしていただいた茶樹第2研究室各位ならびに試験茶樹の処理等,種々協力していただいた土井芳憲技官に心から感謝します。