抄録
臨床分離グラム陽性球菌ならびにグラム陰性桿菌に対するCAZの抗菌力を, CEZ, CPZおよびCTXと比較検討した。PseudomonasについてはCFSも加えて検討した。
S. aureusに対しては, CAZは他の3剤に比べて抗菌力は弱かった。α-Streptococcusに対しては, CAZはCEZおよびCPZとほぼ同じ抗菌力を示したが, CTXよりは弱かった。
E. coli, Shigella, Salmonella, K. Pneumoniae, CitrobacterおよびEnterobacterに対してCAZは, CPZおよびCTXと同様強い抗菌力を示した。Serratiaに対しては, CAZが最も優れていた。Proteusに対する抗菌力は, CTXよりも劣ったが, そのMICは0.05μg/mlから0.78μg/mlに分布した。P. aeruginosaおよびP. cepaciarc対しては, CAZの抗菌力はCFSよりも優れていた。
CAZを呼吸器感染症5例, 尿路感染症2例および亜急性細菌性心内膜炎1例, 計8例に投与した。著効1例, 有効6例, 無効1例であった。無効例はS. pneumoniaeによる大葉性肺炎の例である。
副作用としてはtransaminase値の上昇を伴って, 全身に癌痒性の発疹が出現した例が1例みられた。