日本化学療法学会雑誌
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Grepafloxacinの抗酸菌を含む各種細菌に対する抗菌力と喀痰移行及び呼吸器感染症に対する臨床的検討
渡辺 彰菊地 宏明庄司 聡高橋 洋徳江 豊本宮 雅吉貫和 敏博本田 芳宏中井 祐之新妻 一直滝沢 茂夫柳瀬 賢次中村 美加栄
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1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 206-216

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抄録
Grepanoxacin (GPFX) の抗酸菌を含む呼吸器由来8菌種に対する抗菌力を他のキノロン薬と比較検討すると共に喀痰移行を検討し, 呼吸器感染症に対する本剤の臨床効果, 細菌学的効果, 安全性を検討した。Staphylococcus aureus (MSSA, MRSA), Haemophrlus influenzae, 腸内細菌科の各菌種 (Escherrchia coli, Klegsrella pneumoniae, Enterogacter cloacae, Serratra marcescens), Pseudomuas aerugrnosa, Mycobacterium tuberculosisに対する本剤の抗菌力はMRSAとS.marcescensを除いてofloxacinと同等か2~4倍強かった。呼吸器感染症8例に本剤200mgを経口投与した際の喀痰への最大移行比は161%であった。肺炎9例, 慢性気管支炎4例, 気管支喘息+感染3例, 気管支拡張症+感染6例の計22例に本剤を1日200~300mg, 7~14日投与して著効6例, 有効12例, やや有効2例, 無効2例であった。本剤投与前にStreptococcus pmumonrae 3株, H.influenzae 5株, E.coliK.pneumoniae, P.aerugrnosa及びXanthomonas maltophilia各1株の計12株を分離し, 投与後にはP.aerugrnosaを除く11株が除菌された。副作用は1例もなく, 好酸球増多とGPT上昇を各1例に認めたが, 投与終了時にいずれも改善した。各種細菌に抗菌力が強く, 喀痰移行に優れるGPFXは呼吸器感染症に対する有力な第一次選択薬剤と考えられる。
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