日本化学療法学会雑誌
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Grepafloxacinの基礎的および臨床的検討
大石 明中村 守男金子 光太郎坂内 通宏青崎 登勝 正孝
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1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 217-224

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抄録
Grepanoxacin (GPFX) の基礎的および臨床的検討を行い以下の知見を得た。
基礎的検討ではグラム陽性菌 (methicillin-susceptible Staphylococcus aureus, methicillin-resistant Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Enterococcus faecalis) およびグラム陰性菌 (Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Pseudomonas aeruginosa, Acinetobacter calcoaceticus, Moraxella catarrhalis, Haemophilus influenzae) に対するGPFXのMICを他のニューキノロン系抗菌薬 (ofloxacin, cipronoxacin, tosufloxacin, sparfloxacin) およびclavulanicacid/amoxicillin, cefixime, cefteram pivoxilと比較検討した。GPFXのグラム陽性菌に対するMICrangeは≦0.05~1.56μg/mlの範囲にあり. MIC90値は, 0.78μg/ml以下の優れた抗菌力であった。一方, グラム陰性菌に対するMICrangeはE.coliの≦0.05~12.5μg/ml, P.aeruginosa の0.2~100μg/mlを除いてはすべて≦0.05~3.13の範囲にあり, 比較薬剤中同等またはより低い値であった。MIC90値は, P.aeruginosa の25μg/mlを除いては, 0.78μg/ml以下の優れた抗菌力であった。
臨床的検討では, 呼吸器感染症20例にGPFXを1日300mg分2で3~7日間投与し, 著効6例, 有効8例, やや有効3例, 無効3例 (有効率は70%) であった。副作用は口渇・便秘を1例に認めたが投与中止後, 自然軽快した。臨床検査値の異常変動は認めず, 本剤は安全であり, かつ有用な薬剤であることが確認された。
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