抄録
ニューキノロン系経口用合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) についてin vitro pharmacokinetic systemを用いた抗菌活性の検討および呼吸器感染症に対する臨床的有用性について検討を行った。
1. In vitro pharmacokinetic systemを用い, GPFX200mgおよび300mg内服時の薬剤血中動態をシミュレートし, Staphylococcus aureus FDA209 P JC-1, Streptococcus pneumoniae IID553, Escherichia coli NIHJ JC-2, Haemophflus influenzae IID984, およびPseudomomas aeruginosa IFO 3445に対する抗菌活性を検討した。
各菌種の生菌数は2~8時間までに減少し, S.pneumoniaeならびにH.influenzaeでは200mg, 300mgモデルともに再増殖は認められず, E.coliでは300mgモデルでは再増殖は認められず, P.aeruginosaにおいては300mgモデルの方が200mgに比較して生菌数は減少し再増殖も遅く, 用量差の傾向が認められた。
2. 呼吸器感染症30例にGPFXを1日100mg~600mg投与し, その有効性および安全性について検討した。疾患別の臨床効果 (有効以上) は, 咽頭炎1/1例, 肺炎4/4例 (マイコプラズマ肺炎1例を含む), 急性気管支炎2/2例, 慢性気管支炎18/20例, びまん性汎細気管支炎3/3例であり, 全体の有効率は93.3%(28/30例) であった。
起炎菌を特定し得たのは7例で, 4菌種9株が分離同定された。菌種別の細菌学的効果 (消失率) はS.pneumoniae 5/5株Enterobacter cloacae 1/1株H.influenzae 1/1株, P.aeruginosa 0/2株であった。
自他覚的副作用は, ふらふら感1例, ふらふら感・めまい感の1例の計2例が認められたが, 前者は投与継続中, 後者は投与中止後に消失した。臨床検査異常変動では, 好酸球増多1例, GOT上昇2例, GPT上昇2例がみられたが, 一過性の軽度なものであった。