日本化学療法学会雑誌
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ニューキノロン薬grepafloxacinのin vitro抗菌力ならびに呼吸器感染症への臨床応用
那須 勝山崎 透後藤 陽一郎永井 寛之生田 真澄時松 一成一宮 朋来平松 和史平井 一弘河野 宏田代 隆良伊東 盛夫
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1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 303-307

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抄録
新しく開発されたニューキノロン系抗菌薬grepafloxacinについて, in vitro抗菌力の測定および呼吸器感染症に対する臨床的検討を行い以下の結果を得た。
1. 抗菌力: 最近の臨床材料から分離した7菌種, 270株について, 日本化学療法学会規定の方法により最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, ofloxacin, ciprofloxacin (CPFX), fleroxacinの抗菌力と比較した。
本剤はグラム陽性菌に対して他剤に比べ最も強い抗菌力を示し, メチシリン感性黄色ブドウ球菌 (MSSA), Streptococcus pmumoniaeに対しては全株0.10, 0.39μg/ml以下のMIC値であった。グラム陰性菌に対してはCPFXに次ぐ抗菌力を示し, Bacteroides fragilisに対するMIC50は, 12.5μg/mlと対照薬剤中最も低い値を示した。
2. 臨床成績: 呼吸器感染症8例 (肺炎2, 慢性気管支炎4, びまん性汎細気管支炎1, 気管支拡張症+感染1) を対象とし, 本剤を1日1回, 100~300mg, 3~14日間経口投与した。臨床効果は, 有効6例, やや有効2例であった。
副作用はテオフィリン併用例の1例に軽度の四肢しびれ感・頭重感がみられ, 他に下痢が1例, 嘔気が1例みられた。また, 臨床検査値異常変動は1例に総ビリルビン値の上昇が認められた。
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