日本化学療法学会雑誌
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新しいキノロン系抗菌薬grepafloxacinのin vitro抗菌力ならびに呼吸器感染症に対する臨床応用
健山 正男普久原 浩伊良部 勇栄稲留 潤我謝 道弘斎藤 厚草野 展周古堅 興子仲宗根 勇平良 真幸
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1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 308-313

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抄録
新経口キノロン系抗菌薬であるgrepafloxacin (GPFX) について, 基礎的, 臨床的検討を行った。
基礎的検討: Legianella pneumophilaを含む臨床分離株15菌種, 334株およびLegionella spp. 標準株40株について, 本薬剤と対照薬としてofloxacin (OFLX), tosufloxacin (TFLX), ciprofloxacin (CPFX), enoxacin (ENX), norfloxacin (NFLX) およびLegionella 属にはsparfloxacin (SPFX), erythromycin (EM) を加えて抗菌力を比較した。
GPFXはグラム陽性菌に対しTFLXとほぼ同等の対照薬中最も優れた抗菌力を示した。グラム陰性菌ではLegionella属以外の臨床分離菌に対するGPFXのMIC90はおおむねOFLX, CPFX, ENX, NFLXより優れており, TFLXと同等かやや劣る成績であった。L. pneumophila臨床分離株に対する本薬剤のMIC90はSPFXより1管劣るものの, TFLXと同等の優れた成績であり, Legionella spp. 標準株に対する本薬剤のMIC90では, TFLX, SPFXに次ぎCPFXと同等の抗菌力を示した。
臨床的検討: 慢性気道感染症5例に対し, 本薬剤1日200mg~300mgを1回投与した。投与期間は7~14日間であった。臨床効果は5例全例が有効であった。副作用および臨床検査値異常は本薬剤に起因すると思われるものは全例に認められなかった。
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