抄録
新規なニューキノロン系合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) のChlamydia traohomatisに対するin vitro抗菌力を, 他の4種類のニューキノロン系合成抗菌薬およびminocycline (MINO) の抗菌力と比較検討した。また, 培養細胞を用いて, C. trachouatisの封入体形成に対するGPFXおよびMINOの影響を透過型電子顕微鏡を用い観察した。
C. trachomatis標準株 (D, EおよびF) 並びに非淋菌性尿道炎患者由来の40株の臨床分離株に対するMIC値は, GPFX; 0.06~0.125μg/ml, temafloxacin (TMFX); 0.125~0.25μg/ml, tosufloxacin (TFLX); 0.125~0.25μg/ml. ofloxacin (OFLX); 0.5~1.0μg/ml, levofloxacin (LVFX); 0.25~0.5μg/mlおよびMINO; 0.03~0.06μg/mlであった。
比較した6薬剤のなかではMINOのMICが最も小さく, クラミジア感染症の治療薬として優れていることが抗菌力の点からも伺えた。ニューキノロン系合成抗菌薬のなかではGPFXが最も強い抗菌力を有し, MINOの1/2の抗菌力であった。抗菌力の強さは, GPFX, TMFX, およびTFLX, LVFX, OFLXの順であった。
GPFXは優れた組織内移行性を示すことが報告されており, 今回得られた強い抗菌力から, クラミジアによる非淋菌性尿道炎および性器感染症に対して有用な治療薬として期待される薬剤であると推察された。