日本化学療法学会雑誌
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慢性細菌性前立腺炎に対するNM441の基礎的・臨床的検討
鈴木 恵三堀場 優樹石川 清仁名出 頼男星長 清隆柳岡 正範加藤 忍安藤 慎一置塩 則彦浅野 晴好
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1996 年 44 巻 Supplement1 号 p. 405-413

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抄録

新しいキノロン系合成抗菌薬 NM441ついて以下の成績を得た。
1. 基礎的検討
1) ヒト前立腺組織 (PT) への移行
本剤200mg内服後 1.5, 2, 2.5, 4, 6, 8, 24時間のPT内濃度 (平均値) はそれぞれ 1.72, 1.20, 1.25, 1.29, 1.17, 0.52, 0.38μg/g, 血清中濃度 (平均値) はそれぞれ 1.42, 0.40, 0.28, 0.42, 0.36, 0.19, 0.06μg/mlで, PT内濃度と血清中濃度の比は0.71~13.0であった。
2) ヒト前立腺液 (PF) への移行
本剤200mg内服後1時間のPF中濃度は<0.01~0.44μg/mlで, 血清中濃度は平均0.50μg/ml, 内服後1.5, 2, 4時間のPF中濃度 (平均値) はそれぞれ0.05, 0.02, 0.14μg/ml, 血清中濃度 (平均値) はそれぞれ0.73, 0.80, 0.28μg/mlで, PF中濃度と血清中濃度の比は0.02~1.62であった。
2. 臨床的検討
慢性細菌性前立腺炎患者22例に本剤1回200mgを1日2回, 10~22日間 (平均14, 3日) 経口投与した。UTI薬効評価基準 (第3版, 追補) に合致した17例の有効率は76.5%であった。
副作用としては, 胃部不快感・胸やけ1例, 口内違和感1例の計2例に認められたが, いずれも軽度で投与を継続した。臨床検査値の異常変動として好酸球増多が1例に認められたが.投与終了8日後の検査では回復していた。

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