日本化学療法学会雑誌
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腸内細菌科菌種におけるメタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の検出
角田 光子佐竹 幸子伊豫部 志津子
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1999 年 47 巻 3 号 p. 147-151

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抄録

メタロβ-ラクタマーゼは, カルバペネム薬をはじめとして, モノバクタム類を除く既存のすべてのβ-ラクタム薬を水解するカルバペネマーゼであり, この遺伝子blaIMPは緑膿菌においてはじめて伝達性プラスミド上に見出された。遺伝子blaIMPが他菌種に広がる可能性を予測して, imipenem (IPM) 耐性腸内細菌科菌種についてその検出を試みた。遺伝子はpolymerase chain reaction (PCR) 法により検出し, 加えてカルバペネマーゼの産生を菌細胞粗抽出液によるIPM分解活性を測定することにより確認した。PCR法によるblaIMP陽性株はすべてIPMを水解した。菌種別に設定したIPM耐性菌あたりの, blaIMP検出株数は以下の通りであった。Enterobacter cloacae: 6/56, Escherichia coli: 1/8, Citrobacter freundii: 1/17, Morganella morganii: 1/5, Serratia marcescens: 4/10。耐性菌あたりの検出率がもっとも高いのは, S.marcescensであった。得られたすべてのblaIMP保有株について, E.coli K-12株を受容菌としてIPM耐性の接合伝達実験を行ったところ, E.cloacae 6株中4株からメタロβ-ラクタマーゼ遺伝子の伝達が証明され, blaIMPが伝達性プラスミド上にあることが示唆された。

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