抄録
新規注射用ニューキノロン薬pazufloxacin mesilate (PZFX注射薬) の複雑性尿路感染症を対象とした臨床第II相試験を全国36施設による多施設共同研究にて実施し, その有効性, 安全性および有用性を検討した。
総症例数179例のうち, 不採用症例29例を除く, UTI薬効評価基準に合致する150例を臨床効果解析症例とし, 以下の成績を得た。
PZFX注射薬の1日投与量は, 1回300mg×2回が49例, 500mg×2回が100例, 500mg×3回が1例であった。UTI薬効評価基準判定による総合臨床効果は全体で著効37.3%(56/150), 有効41.3%(62/150) および無効21.3%(32/150) で, 有効以上の有効率は78.7%(118/150) であった。疾患別での有効率は, 腎盂腎炎で75.9%(44/58), 膀胱炎では80.4%(74/92) であった。また, 1日投与量別の有効率は300mg×2回で81.6%(40/49), 500mg×2回で77.0%(77/100), 500mg×3回で1/1であった。
また, UTI薬効評価基準合致症例での治験担当医師判定による臨床効果は, 著効48.7%(73/150), 有効32.7%(49/150), やや有効5.3%(8/150) および無効13.3%(20/150) であり, 有効率は81.3%(122/150) であった。
分離菌別の菌消失率はグラム陽性菌で79.3%(88/111), グラム陰性菌で91.9%(113/123) であり, 全体で85.9%(201/234) であった。
副作用は解析対象179例中2例 (1.1%) に中等度の下痢および軽度または中等度の嘔気・むかつき・下痢が認められ, また臨床検査値異常は解析対象163例中13例 (8.0%) に主として好酸球増多およびトランスアミナーゼの軽度または中等度の上昇が認められた。
以上の成績から, PZFX注射薬は複雑性尿路感染症の治療において1日600mg~1500mg投与にて有用性の高い薬剤であることが示唆された。