日本化学療法学会雑誌
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アンピシリン耐性Haemophilus influenzae感染モデルにおける経口セフェム系薬の治療効果とMICとの関係
宮崎 修一藤川 利彦山口 惠三
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2000 年 48 巻 12 号 p. 903-907

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抄録

最近日本において, アンピシリン耐性Haemphilus influeniae, 特にβ-lactamase非産性アンピシリン耐性 (BLNAR) 株の増加が問題になっている。本菌種は市中呼吸器感染症の主要原因菌の1つであり, 使用頻度の高い経口第3セフェム系薬のアンピシリン耐性株に対する有用性を比較検討した。アンピシリン感受性株, β-lactamase産生株, BLNAR株によるマウス気管支肺炎モデルを用いて, 各薬剤を20mg/kg1日2回3日間投与し, 残存生菌数を測定した。Cefditoren pivoxil, cefcapen epivoxil, cefbodoxime proxetil投与群がいずれの菌株感染モデルにおいても他の比較抗菌薬に比べ優れた治療効果を示した。これら3つの抗菌薬のなかで, 3株の感染菌に対するin vitro抗菌力がもっとも強かったのはcefditorenであり, 次いでcefbapeneであった。Cefpodoximeの抗菌力はこれら抗菌薬の約1/4以下であった。以上の成績から, 治療効果にはin vitro抗菌活性の他に感染部位での抗菌薬の体内動態や蛋白結合率など他の要因の関与も示唆された。

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