2002 年 50 巻 2 号 p. 126-134
プロドラッグ型キノロン系合成抗菌薬prulifloxacin (PUFX) の活性本体であるNM394の抗菌力 (MIC50) は, 臨床分離のセフェム系耐性Pseudomonas aeruginosa28株, levofloxacin (LVFX) 耐性P. aeruginosa43株およびカルバペネム系薬耐性P. aeruginosa52株に対してそれぞれ0.5, 32および0.5μg/mLであり, 対照薬norfloxacin (NFLX), ciprofloxacin (CPFX), tosufloxacin (TFLX), fleroxacin (FLRX), sparfloxacin (SPFX) およびLVFXのMIC50値に比べて同等またはそれ以上の抗菌力を示した。また, セフェム系薬耐性Escherichia coli24株およびextended-spectrumβ-lactamase (ESBL) 産生E. coli28株に対するNM394のMIC90値は, それぞれ0.03および1μg/mLであり, この値はNFLX, CPFX, TFLX, FLRX, SPFX, LVFXのMIC90値と比較してESBL産生菌で2~4管抗菌力が勝っていた。またESBL産生Klebsiella pneumoniae24株, β-ラクタマーゼ陰性かつアンピシリン耐性Haemophilus influenzae32株, LVFX耐性Enterococcus faecalis 17株, Enterococcus faecium18株, ampicillin (ABPC) 耐性Enterobacter cloacae30株およびSerratia marcescens20株に対するNM394のMIC90値は, それぞれ (2, ≦0.015μg/mL),(32, 32μg/mL) および (1, 2μg/mL) であり, 対照薬として用いたニューキノロン系薬6抗菌薬のMIC90値に比べて同等または3管勝る抗菌力を示した。Penicillin耐性Streptococcus pneumoniae (PRSP) 27株に対するNM394のMIC90値は, 0.5μg/mLとLVFXと同等であったが, TFLXやSPFXに比べて劣った。このNM394の強い抗菌力は, P. aeruginosaあるいはE. coliに対する短時間殺菌作用の結果からも認められ, CPFXおよびTFLX, LVFXに比較しても強い傾向にあった。