日本化学療法学会雑誌
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近畿地区におけるEscherichia coliおよびKlebsiella spp.以外の腸内細菌科からのextended-spectrumβ-lactamase産生菌の分離調査
小松 方木下 承晧佐藤 かおり山崎 勝利西尾 久明浦 敏郎島川 宏一相原 雅典
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2002 年 50 巻 2 号 p. 135-142

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抄録
Escherichia coliおよびKlebsiella spp.以外の腸内細菌科菌のextended-spectrumβ-lactamaseをdouble-disk synergy test (DDST) により簡易に検出する方法を開発した。近畿地区の基幹6医療施設から分離された8菌種903株を使用し, cefotaxime (CTX) あるいはceftazidime (CAZ) のMICが≧16μg/mLを示した株を抽出し, cefbpime, CTXおよびCAZ含有ディスクを使用したDDSTでESBL産生性をスクリーニングした。MIC≧16μg/mLの株は88株 (9.7%) あり, うちDDST陽性は10株 (1.1%) であった., 施設別のESBL陽性率は0~2.9%で, 高度特定機能施設で多く認められる傾向があった。DDST陽性となった菌種はEnterobacter cloacae 4株 (1.6%), Citrobacter freundii4株 (6.3%), Serratia marcescens1株 (0.3%) および、Proteus mirabilis 1株 (1.2%) であった。PCR法で8株がMEN-1関連および2株がToho-1関連遺伝子を保有していた。Random amplification ofpolymorphic DNA (RAPD) とenterobacterial repetitive intergenic consensus-PCR (ERIC-PCR) によるgenotypical markerおよびphenotypical markerを使用した解析で, 同一施設内で分離されたESBL産生菌は同一タイプがなく, いずれも散発的な発生であることが示唆された。
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