抄録
Escherichia coliおよびKlebsiella spp.以外の腸内細菌科菌のextended-spectrumβ-lactamaseをdouble-disk synergy test (DDST) により簡易に検出する方法を開発した。近畿地区の基幹6医療施設から分離された8菌種903株を使用し, cefotaxime (CTX) あるいはceftazidime (CAZ) のMICが≧16μg/mLを示した株を抽出し, cefbpime, CTXおよびCAZ含有ディスクを使用したDDSTでESBL産生性をスクリーニングした。MIC≧16μg/mLの株は88株 (9.7%) あり, うちDDST陽性は10株 (1.1%) であった., 施設別のESBL陽性率は0~2.9%で, 高度特定機能施設で多く認められる傾向があった。DDST陽性となった菌種はEnterobacter cloacae 4株 (1.6%), Citrobacter freundii4株 (6.3%), Serratia marcescens1株 (0.3%) および、Proteus mirabilis 1株 (1.2%) であった。PCR法で8株がMEN-1関連および2株がToho-1関連遺伝子を保有していた。Random amplification ofpolymorphic DNA (RAPD) とenterobacterial repetitive intergenic consensus-PCR (ERIC-PCR) によるgenotypical markerおよびphenotypical markerを使用した解析で, 同一施設内で分離されたESBL産生菌は同一タイプがなく, いずれも散発的な発生であることが示唆された。