抄録
Telithromycin (TEL) の経口投与による生殖・発生毒性試験をSD系ラットおよびヒマラヤ系ウサギを川いて行った。ラットの生殖能および初期胚発生に関する試験では, TEL50, 150および300mg/kg/日を雌雄に交配前の期間から交配期間中および交尾後7日目まで (雌) 投与した。交尾への影響はみられなかったが, 150および300mg/kg/日で雄の授胎率, 精巣精 子数および1日の精子産生率の軽度減少, 雌では受胎率の低下がみられ, 黄体数の減少が300mg/kg/日で認められた。以上の結果より, 無毒性量は, 雌雄動物の耐容性について150mg/kg/日, 配偶子の発生および成熟について50mg/kg/日, 交尾行動および受精について300mg/kg/日および50mg/kg/日, 着床前および着床後胚損失率でそれぞれ300mg/kg/日であると考えられる。ラットの胚・胎児発生に関する試験では, 胎児器官形成期に50, 150および300mg/kg/日を投与した。150mg/kg/日で母体に軽度の毒1生症状が現れ, 300mg/kg/日で増大した。50および150mg/kg/日では, 出生児への影響はみられず, 300mg/kg/日では骨格検査で異常 (頭蓋骨, 頸椎および四肢の化骨不全) および奇形 (轡曲肋骨) がみられたが, いずれも母体毒性に関連したものと考えられた。以上の結果より, 無毒性量は, 雌雄動物の耐容性で50mg/kg/日, 胚・胎児の発生で150mg/kg/日と考えられる。ウサギの胚・胎児発生に関する試験では, 20, 60および180mg/kg/日を雌に妊娠6日目から18日目まで投与した。母動物で用量依存的な摂餌量の減少がみられ, 60mg/kg/日以上で体重増加の抑制がみられた。母体の血液および血液生化学的検査では, 180mg/kg/日でのALPの上昇以外に異常はみられず, 剖検でも異常は認められなかった。胎児では, 180mg/kg/日で軽微な成長遅延以外に胚・胎児の発育障害は認められず, 子宮内死亡率の増加もみられなかった。形態学的検査では, 変異, 異常, 化骨遅延または催奇形性などの所見はまったく認められなかった。母体の血漿中濃度は明らかに投与量に相関し, 血中からの消失は速やかで, 反復投与による蓄積傾向はみられなかった。また, 胎児にも低濃度の本薬暴露が確認された。本試験の条件下では, 無毒性量は, 母動物で20mg/kg/日, 胚・胎児で60mg/kg/日であると推定される。ラットの周産期および授乳期の発育および母体機能に関する試験では, 本薬50, 125および200mg/kg/日を妊娠6日目から出生児の離乳まで投与した。