日本化学療法学会雑誌
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Telithromycinのin vitro殺菌作用
MBC/MIC比と殺菌曲線
新井 進岡本 博樹野口 恵子牛場 薫矢口 理史
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キーワード: MBC, 殺菌力, 殺菌曲線, 殺菌作
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2003 年 51 巻 Supplement1 号 p. 77-82

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抄録

日本で臨床分離されたStaphylococcus aureus (19株), Enterococcus faecalis (20株), Streptococcus pneumoniae (16株) およびHaemophilus influenzae (18株) に対するtelithromycin (TEL) のMICおよびMBCを測定し, 既存のマクロライド系抗菌薬であるerythromycin A (EM), clarithromycin (CAM), azithromycin (AZM) およびjosamycin (JM) と比較した。その結果, すべての抗菌薬のS. aureusおよびE. faecalisに対するMBC50/MIC50およびMBC90/MIC90は32以上であったが, S. pneumoniaeおよびH. influenzaeに対するMBC50/MIC50およびMBC90/MIC90は2以内であった。したがって, TELはS. aureusおよびE. faecalisに対しては静菌的に, S. pneumoniaeおよびH. influenzaeに対しては殺菌的に作用することが示唆された。さらに, S. aureus, S. pneumoniaeおよびH. influenzaeの標準菌株に対するTELの殺菌曲線を求め, EM, CAMおよびAZMと比較検討した。その結果, TELはS. aureus Smithに対して, CAMに若干劣るものの, EMおよびAZMと同様に, 1/2MICの濃度での増殖を抑制し, MICの濃度から緩やかな殺菌作用が認められた。また, S. pneumoniae DP-1に対して, 他の対照薬と同様にMICより低い濃度で増殖を抑制し, MIC以上の濃度で殺菌的に作川した。H. influenzae ATCC 49247に対しては, 1/2MICの濃度で増殖を抑制し, MIC以上の濃度で殺菌的に作川した。TELは, 特にS. pneumoniae DP-1およびH. influenzac ATCC 49247に対して, EM, CAMおよびAZMに比べて短期間で強力な殺菌作用を示し, さらに, これら抗菌薬でS. aureus SmithおよびH. influemae ATCC 49247においてみられた再増殖も認められなかった。

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