2005 年 53 巻 Supplement1 号 p. 124-129
65歳以上の健康な男子志願者6例を対象に, 新規注射用カルバペネム系抗菌薬doripenem (DRPM) の第I相臨床試験 (薬物動態試験) を行った. 投与は1回250mgの単回投与 (0.5時間点滴静注) とし, 加齢がDRPMの薬物動態に及ぼす影響を別途実施した健康成人男子 (非商齢者) の成績と比較することにより検討した. 併せて, 高齢者におけるDRPMの安全性の評価を行い, 以下の成績を得た.
高齢者と非高齢者との間で消失半減期, AUCおよび全身クリアランスに有意差が認められたものの, その差は大きなものではなく, 平均血漿中濃度推移には高齢者と非高齢者との間に大きな差は認められなかった.
副作用は認められなかった.
以上の成績より, DRPM250mgの単回投与時の体内動態に加齢による影響はほとんどないと考えられ, 高齢の感染症患者に対しても, 非高齢者と同様の用法・用量で使用可能で, 安全性にも問題のないことが示唆された.