日本化学療法学会雑誌
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ペニシリン耐性肺炎球菌による呼吸器感染症を対象としたgarenoxacinの第III相一般臨床試験
河野 茂渡辺 彰青木 信樹舘田 一博谷口 博之二木 芳人平田 恭信
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2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 185-193

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抄録

新規の経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacinmesilatehydrate (GRNX) のペニシリン耐性肺炎球菌 [penicillin-intermediate resistant streptococcu5 pmumoniae (PISP) またはpenicillinresistantS.pneumonme (PRSP)] を原因菌とする呼吸器感染症に対する有効性および安全性を検討した。
1.臨床効果: 肺炎球菌解析対象集団における投与終了時または中止時の有効率は, PRSPで8/9例, PISPで93.8%(15/16例), penicillin-susceptible S.pneumoniae (PSSP) で100%(22/22例) であった。耐性不明については4/4例有効であり, 肺炎球菌全体の有効率は96.1%(49/51例) であった。また, 投与3日後の有効率は, 肺炎球菌全体で84.3%(43/51例) であり, そのうちPRSPで8/9例, PISPで75.0%(12/16例), PSSPで86.4%(19/22例), 耐性不明4/4例であった。
2.細菌学的効果: 肺炎球菌解析対象集団における投与3日後および投与終了時または中止時の菌消失率はいずれも, 肺炎球菌全体で100%(50/50例) であり, そのうちPRSPで9/9例, PISPで100%(16/16例), PSSPで100%(21/21例) であり, 耐性不明で4/4例であった。
3.安全性: 副作用発現率は8.1%(8/99例), 臨床検査異常発現率は30.3%(30/99例) であったが本薬に特異的な有害事象はなく, また, 臨床上問題となる心電図所見もなかった。
以上の成績から, PRSPおよびPISPを含む肺炎球菌を原因菌とする呼吸器感染症に対して, GRNX400mg1日1回投与により, 高い臨床的有用性が期待できるものと考えられた。

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