日本畜産学会報
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一般論文
泌乳牛における産次・乳期の違いがインスリンの分泌反応および抵抗性に及ぼす影響
五箇 大成戸田 克史野中 最子樋口 浩二Agung PURNOMOADI永西 修寺田 文典
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2003 年 74 巻 3 号 p. 349-354

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抄録

乳牛における産次・乳期による乳生産量の違いに対するインスリンの調節作用について検討するため,泌乳初期(5週)の初産牛(5頭)および経産牛(9頭),泌乳後期(30~33週)の経産牛(4頭)を供試し,グルコース(0.1g/kgBW),インスリン(0.2IU/kgBW)を頸静脈より投与し,投与前後の血漿インスリン,グルコース濃度を測定した.その結果,泌乳初期の乳量は,初産で経産より有意に少なく(P<0.01),経産牛の乳量は,泌乳後期で初期より有意に少なかった(P<0.01).グルコース刺激インスリン分泌反応は,初産泌乳初期で,経産泌乳初期より有意に大きく(P<0.01),インスリン基礎濃度も,初産泌乳初期および経産泌乳後期で,経産泌乳初期より有意に高かった(P<0.05).また,インスリン刺激グルコース減少反応は,経産泌乳後期で初産および経産泌乳初期より有意に大きかった(P<0.05).以上の結果から,産次・乳期による乳生産量の違いに,インスリンによる調節が働いている可能性が示唆された.

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© 2003 公益社団法人 日本畜産学会
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